福島からの母子支援について考えよう シンポジウム報告

2012年3月19日、東京しごとセンター講堂にて、福島からの母子支援ネットワークシンポジウム第2弾「福島からの母子支援について考えよう」が開催されました。

震災から1年がたち、復興した部分、していない部分、さらに深刻さを増した部分、いろいろありますが、福島の原発事故の影響で大きな課題を抱えてしまった福島の子どもたちについて情報交換し、みんなで考えるシンポジウムです。

平日の夜に80名というたくさんの方々にご参加いただきました。

今回はコミュニティワークを手法にされていらっしゃる武蔵大学の武田信子先生にコーディネートをお願いしました。

まずは武田先生が整理された情報をもとに、福島から避難されている母子のさまざまな状況、抱えている課題、福島からの避難されている方が多い山形、新潟の状況や支援内容、今日のシンポジウムの流れを話されました。
(武田先生の資料はこちらからダウンロードできます→→ 福島避難母子 武田先生資料PDF)

次にNPOの立場でこどもプロジェクト福田が、東京での支援ネットワーク設立の経緯や東京での課題、国や自治体の動きなどを話しました。


東京では避難されている方が後ろめたい気持ちが強いのか、声が上がってこないため、なかなか支援したくても現状が見えてきません。特に未就学の乳幼児の家族は学校を通して社会とつながっていないため、孤立しているのではないだろうかという心配があります。たくさんの避難されているママたちと出会うためには、また今後ももっと福島からの子どもたちを東京で受け入れていくにはどうすればよいか。それを個人的な思いとしてあげました。
(福島からの母子支援ネットワークの資料はこちらからダウンロードできます→→福島からの母子支援ネットワーク資料PDF

東京都には、福島からの避難している方が約7500人いるという数字が公表されていますが、それも都営住宅など都が斡旋して足取りのわかる数字のみです。

都内避難者数リストはここをクリック

今回のメインゲストは、福島県白河市で3.11以降にサロンを開設した「たんぽぽサロン」代表の永野美代子さんです。週2回のサロンに小さなお子さんを連れたママが集い、泣いたり笑ったりしながら交流を深めています。また、最近では白河市に避難してきた方もいらして、ひっそりと加わっているそうですが、同郷から避難している方でないと本音で話せないこともあるので、そのような日も作ることを考えていらっしゃるようです。

現地の新聞では毎日放射線量の数値が発表になり、ママたちも本当は心配でしょうがないのですが、放射能を気にしてはいけないというムードがあり、そのことについて話したりすることもなかなか難しいようです。

永野さんが、「今回東京で話そうと思ったのは、避難しているママたちに、どうしているの?心配しているよ。避難しているママも残っているママも苦しいけれど、子どもを守るために頑張っている自分をほめてあげて、と伝えたかったのと、福島の母子のことを支えてくれてありがとうと、東京の皆さんに言いたかったから」とおっしゃったのが印象的でした。

その後はグループに分かれてワークをしました。

大きな模造紙に、すぐにできる支援、徐々に、長期的に必要な支援を書き、それを阻害また促進している要因、さらに個人、団体、国に分けて考えました。

グループごとに発表しましたが、「支援はもう十分。何もいらないが家が欲しい。」という福島からの避難ママもいました。

最後に各個人で、1か月以内、3か月以内、長期的にできること、やることを書きだしました。

早速メーリングリストを立ち上げてくださる方が現れ、福島のたんぽぽサロンと東京避難母子の会に寄付が集まりました。

1年たって、やっとネットワーク化がスタートした福島からの母子支援という実感がありました。

ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2件のコメント 福島からの母子支援について考えよう シンポジウム報告

  1. 母子避難中 says:

    永野さんの言葉が心に沁みて、涙が溢れました。
    福島を逃げ出した私達ですのに、不安と戦いながら福島でがんばっている方が
    あんなにも温かい声をかけてくださるなんて、思いもよらなかったです。
    永野さんのような方が福島にいてくださって、本当に良かったです。

    正直、ワークショップによって、辛いことを思い出したり、
    いろいろ思いがぐるぐるしてしまい、未だに重い気持ちはありますが
    一年を過ぎて、そろそろ 本気で向き合ってみようかとも 思い始めました。
    今までは、振り向かずに走り続けるだけでしたので。

    武田先生の講演も、とても私達の現実に沿っていて、心強かったです。
    支援より家を という方もいますが、私は今回のシンポジウムで集った
    沢山の方々との出会いの方が、遥かに貴重だったと確信しております。
    私にもできること、ちょっと見えてきました。ありがとうございました。

  2. admin says:

    母子避難中の方へ
    コメントをいただきありがとうございます。福島の地域によっていろいろな課題があり、なかなか公的な場で共有するのは難しいですね。でも、参加してくださり、思い切っていろいろ発言してくださって本当にありがとうございました。

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